- 皆川夏樹
「嚥下食ピラミッドからスマイルケア食まで~『嚥下食』とは何か」 報告と雑感
最終更新: 2019年6月19日
室蘭登別食介護研究会 第11回研修会 (2015.12.2)「嚥下食ピラミッドからスマイルケア食まで~『嚥下食』とは何か」 報告と雑感 2015年12月2日(水)、第11回研修会では、「嚥下食/介護食」と言われるものについて、世の中に流布しているものをまとめて、それぞれに解説をしてもらうべく、酪農学園大学大学院の東郷将成氏に報告をお願いしました。以下、このテーマについて、東郷氏の報告からの引用を交えながら、私なりの概説を試みます。 ① まず、用語について 今回取り上げる『名称』は、以下の5つです。 ★ユニバーサルデザインフード(2002年~)★嚥下食ピラミッド(2004年~)★えん下困難者用食品(2009年~)★嚥下調整食分類(2013年~)★スマイルケア食(2014年~) これらはいずれも、「高齢者や障がい者の方にとって、食べやすい・飲み込みやすい食事」ということで提唱されたものです。そうした食品は、「嚥下食」「嚥下障害食」「嚥下調整食」「介護食」・・・等々、様々な名称でこれまで呼ばれてきています。今回取り上げる上記の5つのものは、それらの中で、公的な性格が強く、一般的に流布している、と思われるものをピックアップした、という程度にご理解ください。順番は、提案された年代の古いものから、となっています。 今回は、「高齢者」「要介護者」のための食事・食品、として、様々な用語が提案されていますが、現場での混乱を招きかねない、ということも考慮され、それぞれの用語の使い分け/区別を試みた、ということです。 ② それぞれの用語についての概説以下、前項に挙げたそれぞれの名称について、それぞれホームページに公開している情報から、「母体団体」、「目的」、「対象とする方」、「定義」、「使用されている分野・場所」等をまとめてみました。 ★ユニバーサルデザインフード(2002年)◎母体団体 ・日本介護食品協議会 / 「介護食品」製造者側の団体が、自主規格を策定するために集まって作られた団体。2000年に、設立ワーキンググループを立ち上げた際の参加企業は、伊藤ハム(株)、キユーピー(株) 、ホリカフーズ(株) 、明治乳業(株) 、和光堂(株)の5社。 ワーキンググループ~準備委員会での議論を繰り返し、最終的に、2002年に、日本介護食品協議会の設立となり、「ユニバーサルデザインフード」を提唱した。最終的な参加企業は以下の17社。(株)葵フーズディナーズ、伊藤ハム(株)、岩手缶詰(株)、江崎グリコ(株)、亀田製菓(株)、キユーピー(株)、武田食品工業(株)、東洋製罐(株)、(株)ニチロ、日東ベスト(株)、日本ハム(株)、日本山村硝子(株)、ホリカフーズ(株)、明治乳業(株)、山一商事(株)、雪印食品(株)、和光堂(株) ◎目的・ホームページ内では、「厚生労働省は平成6(1994)年に高齢者用食品の表示許可の取り扱いについて定めていますが、これは明らかな「病者向け」であり、加工食品業界が考える一般用食品としての「介護食品」とは考え方を隔していました。・・・(中略)・・・このような背景の中、消費者に混乱を与えないためにも、業界が主体となって自主規格を策定する必要性が急務となったのです。」と謳っており、食品製造者サイドから、消費者へ向けたものである、とされています。
(太字・下線は筆者です。以下同様) ◎対象とする方・同じくホームページ内では、「健常者から要介護者まで、さらに、高齢者に止まらず対象者を幅広く設定した食品である。高齢者がメインターゲットであるが、口腔内を手術された方、健常であるがいわゆる「歯が浮いた」状態で固いものが食べられない時など、幅広い場面での使用が考えられる。さらに「介護食」の持っている特長から視覚障害者の食品としても適しており、いわばユニバーサルデザイン化された食品であるとも言える。」としています。 ◎定義・以下の表が出されています。