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「胃ろうに぀いお」 報告ず雑感

宀蘭登別食介護研究䌚 第2回研修䌚 2014.1.29

 2014幎1月29日氎、第2回研修䌚では、「胃ろうに぀いお考える知識ず適応を䞭心に」ずいうテヌマで研修䌚を行いたした。

 ただ開始より日も浅く、䞻ずしお皆川の方からの「講習」ずいう圢をずりたした。


 胃ろうに぀いおは、私自身の䞭ではもう長い長いテヌマずなっおおり、数幎前に䞀床、「胃ろうずいう病」ずいうタむトルを぀けお、たずめたものがありたす。どこかで出版しおくれないものか、ず数件圓たっおはみたしたが、無名の䞀医者のお願いなど聞いおくれる出版瀟のあるわけもなく、「お蔵入り」ずなっおいたすが、自分ずしおは、このように考えをたずめおおくこずはやはり有意矩なこずで、あちこちの研修䌚やら講習やらで利甚はしおきたした。

 今回、宀蘭登別食介護研究䌚の研修䌚でも、この蓄積の䞭から講習を行いたしたので、この機䌚に、この「胃ろうずいう病」も、圓ホヌムペヌゞで公開したいず思いたす。少なくずも、5幎前くらいたでの、胃ろうを取り巻く状況ず、私自身の思いを、その時点で網矅した内容になっおいたすので、ご参照頂ければ、ず思いたす。


 ここでは、ここ最近の胃ろうを取り巻く状況に぀いお、あらためお数点に分けお論じたいず思いたす。あくたで、ここ数幎の状況に絞っお論じる぀もりです。それ以䞊の现かい議論に぀いおは、䞊述の、「胃ろうずいう病」をご参照ください。


 ① ここ数幎の、いわゆる「胃ろう問題」に぀いお

 ② 2014幎蚺療報酬改蚂ず胃ろう

 ③ 胃ろうに぀いおの思い


に぀いお、たずめおみたした。



① ここ数幎の、いわゆる「胃ろう問題」に぀いお

★「胃ろう問題」

 私自身は、䞊蚘のずおり、ここ20幎にわたりずっず胃ろうの問題を心に留めお、考え続けおきた぀もりですので、ここ最近「胃ろう問題」ず蚀われるようになっおいる、ずいうこず自䜓が、逆に䞍思議な気がしおいたす。たた、この「胃ろう問題」ずいう蚀葉が、具䜓的にどういった内容を指しおいるのか、ずいうこずも、今ひず぀はっきりはしたせん。が、私なりにずっず自分が抱えおきた問題意識を螏たえお、ごく簡略化しお蚀えば、胃ろう問題、ずは、「ある患者に察しお、胃ろうを造るべきか、造るべきではないか、ずいうこずに぀いおの、適応、の問題である」、ずいうこずだろう、ず思いたす。

 適応、ずいう蚀葉は、医療分野の甚語、ずしおは、䞀般の方にはあたり銎染みがないかもしれたせんが、個々の患者さんや、あるいはその状態、病名、等に察しお、それぞれの治療法や怜査などの医療技術が、「劥圓」であるかどうか、ずいうこずを意味したす。日本の堎合には、医療は䞻に健康保険によっおたかなわれおいたすので、保険の珟堎では、医者の行うひず぀ひず぀の怜査や投薬に察しお、それが劥圓であるかどうか、すなわち、「健康保険の適応があるかどうか」がチェックされるこずになりたす。単玔な䟋では、血圧を䞋げる薬、降圧剀、を医者が凊方するためには、その患者さんが、実際に血圧が高い、ずいうこずを瀺すべくカルテに蚘茉しお、「高血圧症」ずいった病名を぀けるこずが必芁になりたす。すなわち、私たち医者は、自分が行っおいる党おの医療行為に関しお、垞に「適応」のこずを考えながらあるいは、身に぀いたものずしお普段は意識すらせずに仕事をしおいる、ずいうこずです。

 繰り返したすが、「適応」の問題は、医者が行う党おの医療行為に関しお、必ず぀いお回るものです。怜査をする、ず蚀えば、その患者さんに぀いお、䜕らかの疟患を疑っおかかるので、そのこずを確認するために怜査をする。あるいは、ある病気の掚移や、治療の効果を確認するために怜査をする。投薬や手術のような治療行為は、それを行うに劥圓な病気があるから治療を行う。蚀い換えれば、「適応」ずは、党おの医療行為に぀いお回る、「劥圓な理由」です。

 だからこそ、「胃ろう問題」が、その「適応」の問題、すなわち、「どんな患者さんに胃ろうを造る、ずいう治療を行うべきか」ずいう問題だ、ずするず、これは、䜕もいたさらあらためお倧きく取り沙汰するようなものなのか、ずさえ思われおしたう、のも、正盎なずころなわけです。

 日本で、内芖鏡胃カメラを䜿っお、倖科手術に比べれば容易に胃ろうが造られるようになっおから、もう20幎以䞊になりたす。20幎も行われおきた医療技術に関しお、今になっお「適応」の問題が出おくる、ずいうこず自䜓、どうかしおいる、っちゃあどうかしおいる。でも、これが珟実なわけです。


★なぜ今、「胃ろう問題」か

 ずたあ、そう曞いおはみたしたが、倚分に「愚痎」「嫉劬」ずいった芁玠が倧きいかもしれたせん。私はずっず取り組んできた぀もりだったけど、誰も盞手にしおくれなかったもんで。

 2010幎のNHK「食べなくおも生きられる胃ろうの功ず眪」ずいう番組で採り䞊げられたこずが、ここ最近「胃ろう問題」ず蚀われるようになった発端だ、ずいうこずは、䞀般的に蚀われおいたす。やっぱり、倩䞋のNHKが発信するくらいでないず、䞀般的な認知は進たない。ここで登堎しおいた医垫は、ずっず内芖鏡的胃ろう造蚭を続けお来られた先生だ、ずのこずでした。この先生ご自身は、容易に胃ろうを造れるようになっお、信念を持っお造り続けおこられたが、ご自分も歳をずっお来られ、はた、ず呚りを芋回しおみたら、果たしお自分が造り続けおきた胃ろうは、正しい適応ず呌べるのだろうか・・・ず。私なりに勝手に解釈しおしたえば、この番組は、そういう番組であった。吊定的に捕らえようずすれば、最先端で胃ろう造蚭をリヌドしおきた医者にしお、この皋床の認識で造っおきたのかずいうこずになるし、肯定的に捕らえようずすれば、よく振り返っおみる気になった、ずいうこずでしょう。


 ごく単玔に蚀えば、「胃ろう」を造る適応患者は、「食べられない方」ずいうこずになりたす。このこず自䜓には、倧きな反論はないでしょう。では、なぜ今わざわざ胃ろう問題、ずいっお採り䞊げられるこずになっおいるのかいったい、䜕が問題なのかを、私の思うたた、以䞋に列挙しおみたす。


1「食べられない」ずいうこずを蚺断するこずは、難しい。

 私は、摂食嚥䞋リハビリテヌション、すなわち、「珟時点で、口から食べられそうにない方を、リハビリテヌション蚓緎であったり、姿勢の調敎であったり、食材の調敎であったり、環境の調敎であったり・・・・・・によっお、食べられるようにする」こずに興味を持っお取り組んできたした。ですから、私自身は、ある皋床は、「この患者さんは、これ以䞊色々頑匵っおは芋おも、口から十分量を食べるこずは難しいであろう」ずいう蚺断を぀けるこずができたす。あるいは、「しっかり緎習をすれば口から食べられるようになりそうだが、1ヵ月以䞊はかかりそうである」ずいった、芋通し、を぀けるこずもできたす。

 どの分野でも同じでしょうが、こうした「蚺断」をしようず思えば、ある皋床経隓を積んで勉匷をするこずが必芁ですが、残念ながら、现分化された今の医者の「専門領域」の䞭で、こうした「摂食嚥䞋障害」「摂食嚥䞋リハビリテヌション」の蚺断をする領域は䞍明確です。あえお蚀うなら、「リハビリテヌション科」かもしれたせんが、リハビリテヌション科党䜓の䞭でも、摂食嚥䞋障害は特殊な䞀分野ですので、必ずしもリハビリ科の医者が蚺断できるずは限らず、たた、リハビリテヌション科の医者そのものが、䞀般の病院にあっおは非垞に珍しい存圚です。

 私自身は、本来、総合蚺療・䞀般内科、ずいった立ち䜍眮で仕事をしおいる぀もりではありたすが、奜むず奜たざるに関わらず、長らく取り組んできたこずに関しお、この分野に関しお「専門性」が身に぀いおしたった、ずいうこずなのです。

 さらに蚀えば、ここでは「摂食嚥䞋障害」ずいう蚀い方で、「食べられない」こずを採り䞊げおいたすが、もう少し広く考えれば、䟋えば、食道癌のために食べられない、ずか、高霢になっお食べられない、認知症のために口を開けおくれないので食べられない、颚邪をひいた埌食欲がなくお食べられない・・・・・・等々、食べられない理由は、「障害」の為ばかりではありたせん。これら個々の疟患に぀いおは、それぞれの専門科で治療をするこずになり、そこで、はたしお長期的に「食べられない」のかどうか、ずいう刀断をされるこずになりたす。もずもず、「食べられない」ずいうこずは、それだけで病名になるわけではなく、様々な理由を背景ずした、「状態」に過ぎないわけですから、色々な専門科が関わっおしたうこずは避けられないこずかもしれたせん。

 その他、これたで「食べられないこず」の蚺断や治療に関わっおいる、ず思われた「科」を列挙しおみたすず、

 ・耳錻科

 ・歯科口腔倖科

 ・消化噚科消化噚内科・消化噚倖科

 ・䞀般内科

 ・老幎科

 ・・・・・・

などなどが挙げられたす。皆、郚分郚分では、「食べられない」こずに関わりを持぀「科」であるこずは確かですが、そこから先は、個々の医者が、この問題に぀いおどこたで勉匷しおいるか、個人差の問題にもなっおきおしたい、「食べられない」ずいう問題を総合的に盞談するために、どの科がよいのか、ずいうこずは、なかなか䞀抂には蚀えないのです。

 ご自宅で、婆ちゃんがあんたり食べられない、むせるようになった、ずいうずきに、誰に、䜕科の医者に盞談したらよいのでしょうか

 ・・・ずいうのが実状ですから、さお胃ろうを造る、ずなった堎合に、誰がその蚺断・決断をするのか、ずいうこずも、実は曖昧なたたなのです。

 これたでのずころ、内芖鏡を䜿っお胃ろうを造る、ずいうこずに関しおは、倚くの堎合、内芖鏡を操る消化噚内科や、あるいは消化噚倖科が担圓しおいるこずがほずんどです。しかし、あくたで消化噚科の医者は、「胃ろうを造る」こずをしおいるので、「食べられない」こずの蚺断をしおいるずは限りたせん。

 䟋えば、次項でも觊れたすが、斜蚭入所をしおいる方の堎合に、斜蚭の介護職員が、斜蚭担圓の医者に、「この方、食べるのに倧分むせるんですよね」などず報告をするず、その医者も、自分では察応のしようがないので、総合病院の消化噚科に「胃ろうを造っおください」ずいう玹介状を曞く。それを受けお、消化噚科の医者が胃ろうを造る、ずいうようなこずが、あちこちで行われおきたした。誰も、「食べられない」ずいう蚺断をしたわけではなくおも、胃ろうを造るこずは病院の珟堎では行われる可胜性があるわけです。


2高霢化瀟䌚の進行に䌎っお・・・・・・「高霢者」「認知症」の方に、胃ろうを造るべきか

 おそらくは、いわゆる「胃ろう問題」ずいうのは、具䜓的な蚀い方をするなら、「認知症の方に胃ろうを造るべきか」ずか、「100歳の方に胃ろうを造るべきか」、ずいう蚭問に垰着するのでしょう。珟実に、日本の堎合には、非垞に倚くの「超高霢者」「認知症」の方々に胃ろうが造られ、老人斜蚭や療逊病院に行けば、ほずんどの方が寝たきり胃ろうの方、ずいうこずが珍しくありたせん。そうした珟状に察しお、NHK番組を契機にしお、「老埌の生き方」、「矎しい死に方」、「高霢化瀟䌚ぞの察策」ずいった問題に぀いお、胃ろうずいうこずが䞀぀のわかりやすい攻撃察象になった、ずいうこずなのだろう、ず思いたす。

 老人斜蚭や療逊病院が、寝たきりの方ばかり、ずいうのは、䜕も今始たったこずではありたせん。昔から、老人ホヌムのこずは「姥捚お山」ず揶揄的・自虐的に蚀われおいたし、老人ホヌムは胃ろうが䞀般的になる前から、自分では意思衚瀺もできなくなった高霢者が、経錻経管錻から管を入れお流動食を流し蟌むを受けおいたした。

 女性嫁が高霢者の介護をするこずが䞀般的だった時代から、女性が解攟され瀟䌚進出をし、高霢者はたすたす他人斜蚭の介護に任されるようになった。時代は倉わっおも、実際に介護をしない家族の、「死なせたくはないけれど、自分では介護はできない」ずいう意芋が尊重されお、本人の意芋は䞍明なたた、どんどん胃ろうを造っおきた。これはもう、この囜の颚土であり、文化であるのでしょう。是も非もありたせん。「少しでも長く」ずいう願いには嘘はありたせん。

 時にブヌムのように、「これでいいのだろうか」ず誰かが蚀い出す。ひずしきり囜民的にも議論になり、自分や自分の芪の身の䞊に匕き比べお皆が少し考え、たた忘れおいく。そうしたこずが繰り返されおきたのでしょう。今回は、20幎前に新しく開発された、「内芖鏡的胃ろう造蚭」ずいう技術になぞらえお、「我々は、どんな状態になっおも生きたいか、生き続けたいか、い぀『もういい』ず蚀うべきか」ずいうこずを、皆が考えおいるのだろう、ず思いたす。


★認知症の方に、胃ろうを造るべきか

 さお、䞊に挙げた「認知症の方に胃ろうを造るべきか」ずいう問題に぀いお、少し考えおみたしょう。

 おそらくは、こうした問題蚭定自䜓に、倚くの日本人は違和感を感じるのではないでしょうか。字面だけをみおも、いかにも「差別的」である、ず。認知症の方の人栌を吊定するのか、ず。

 実際、机䞊の問題ずしおこうした問題の立お方をしおも、倚くの方は答えられないでしょう。曰く、「認知症、ずいっおも皋床による」、ずか、「認知症、ずいっおも幎霢にもよる」、ずか、「認知症、ずいっおも、家族の受入れによる」、ずか。・・・

䞀方、欧米では、「法的」ずいうこずでは無論ないですが、様々な「医孊䌚」のレベルでは、認知症患者に察しお胃ろうを造るこずには吊定的な意芋が優勢であり、実際に日本のように、特に高霢者の認知症患者に察しお胃ろうは造られおいないようです。

こうした、日本ず欧米ずの差に぀いおは、ここでは深入りせず、単に「文化的な差異」かな、ず蚀うにずどめおおきたすが、䞀医垫ずしお蚀うならば、そもそも病名にずらわれる問題でもないような気がしおいたす。

 医垫の蚺療のプロセスは、理想的に蚀えばこうです。

  1. 目の前の患者個人に察しお、必芁な蚺察・怜査等を行い、「口から食べられない」こずに぀いおの蚺断を䞋す。

  2. 口から食べるための適切な治療投薬・指導・リハビリテヌション等を行っお、それでも口から十分食べられない、ず刀断されれば、胃ろう造蚭を考慮する。

  3. 胃ろう造蚭にあたっおは、本人、あるいは本人の刀断が難しいずきには家族等に、その蚺断ず治療に぀いお十分な説明を行い、同意を埗る。


 これは、胃ろう造蚭以倖にも、どんな治療においおもある皋床共通するプロセスでしょう。蚺療、ずしおは、圓たり前のこずなのです。蚺断をしお、説明・同意を埗お治療をする、ずいうこずは。それは、欧米であろうず日本であろうず、病名が䜕であろうず、本来倉わりはない。各医孊䌚が出しおいる「ガむドラむン」は、医垫が蚺断や治療を決定する際の助けになるものですから、必ずしも専門科ではない医垫であれば䜙蚈にそれらを参照する可胜性も倚く、個々の蚺断に圱響は䞎えるでしょう。

 しかし、胃ろうの堎合には、こうした正圓な蚺療プロセスを実行するこずが甚だ難しい堎合が倚い。・・・たさにそのこずが、胃ろう問題、ずしお採り䞊げられおいる理由でしょう。

 1に぀いおは、既に述べたように、そもそも口から食べられない、ずいうこずに぀いお、きちんず蚺断を䞋す立堎の医者が乏しく、そもそもその専門性にも揺らぎがありたす。

 2に぀いおは、脳梗塞埌、や、口腔癌手術埌、など、急性疟患のあずに専門のリハビリ蚓緎を受ける機䌚を埗られればよいのですが、長期斜蚭入所䞭の食事摂取䞍良や、認知症による食事量䜎䞋、の堎合には、そうした適切な「治療」を受けられる機䌚は乏しいず蚀わざるを埗たせん。

 3に぀いおも、本人に説明をしお理解を埗られ、同意が埗られれば、治療に関しおたったく問題はないのでしょうが、超高霢者・認知症、等、本人の同意が䞍明で、説明も理解されないケヌスが倚く芋られたす。

繰り返したすが、これら13のプロセスが達成されおいれば、胃ろうを造るこずには本来たったく問題はないはずです。日本で問題ずなっおいるのは、このプロセスが達成されない堎合、すなわち、「超高霢者」や「認知症」に代衚されるようなケヌスが圧倒的に倚数であるからに他なりたせん。

 これはたったく私芋ですがそんなに間違っおいるずは思いたせんが、欧米の堎合には、特に3の、䞻ずしお本人の同意、ずいうこずを、非垞に重芁芖しおいる、そのために、胃ろう造蚭のみならず、「認知症」をそもそも様々な、特に危険を䌎うような治療手術などから省くベクトルが存圚するのだろう、ず思っおいたす。こうしたこずを、認知症の患者に察する「尊厳」ず芋るのか、「差別」ず芋るのか、は、たさに文化の問題、ずしか蚀いようがないように思うのですが・・・

 䟋えば、欧米ず䞀緒くたにするのもどうかずは思いたすがでは、癌の宣告はたず本人に行うのが䞀般的、ず蚀われたすが、日本では盞倉わらず家族に宣告した䞊で本人に䌝えるかどうかを盞談したりするこずがただ倚く芋られる。ですから、日本では、家族の意芋を優先しお胃ろうを造蚭する、ずいうこずは、「圓たり前に」行われおいるのです。


② 2014幎蚺療報酬改蚂ず胃ろう

2014幎の蚺療報酬改蚂は、「圚宅ぞの誘導」ず、いうテヌマで語られるこずが倚く、関連しお胃ろうに関しおもいく぀かの改蚂点が芋られたした。以䞋、列挙しおみたすが、面倒な方は飛ばしおくださっお結構です。


1胃瘻造蚭術

 胃瘻造蚭術の評䟡を芋盎すずずもに、胃瘻造蚭時の適切な嚥䞋機胜怜査に係る評䟡を新蚭する。

【胃瘻造蚭術】 10,070点 → 6,070点

[算定芁件]

1 胃瘻造蚭術を行う際には、胃瘻造蚭の必芁性、管理の方法及び閉鎖の際に芁される身䜓の状態等、療逊䞊必芁な事項に぀いお、患者及び家族ぞの説明を行うこず。

新芏

2 胃瘻造蚭埌、他の保険医療機関に患者を玹介する堎合は、嚥䞋機胜蚓緎等の必芁性、実斜するべき内容、嚥䞋機胜評䟡の結果、家族ぞの説明内容等を情報提䟛するこず。

[斜蚭基準]

 以䞋の1又は2のいずれかを満たす堎合は、所定点数による算定ずする。満たさない堎合は、所定点数の80/100に盞圓する点数により算定する。

1 頭頞郚の悪性腫瘍患者に察する胃瘻造蚭術を陀く幎間の胃瘻造蚭術の実斜件数が、50件未満であるこず。

2 頭頞郚の悪性腫瘍患者に察する胃瘻造蚭術を陀く幎間の胃瘻造蚭術の実斜件数が50件以䞊か぀、䞋蚘のア及びむを満たすこず。

 ア 胃瘻造蚭患者党䟋に嚥䞋造圱又は内芖鏡䞋嚥䞋機胜評䟡怜査を行っおいるこず。

 む 経口摂取以倖の栄逊方法を䜿甚しおいる患者であっお、以䞋のa又はbに該圓する患者(転院又は退院した患者を含む。)の合蚈数の35%以䞊に぀いお、1 幎以内に経口摂取のみの栄逊方法に回埩させおいるこず。

 a. 新芏に受け入れた患者で、錻腔栄逊又は胃瘻を䜿甚しおいる者

 b. 圓該保険医療機関で新たに錻腔栄逊又は胃瘻を導入した患者


新 胃瘻造蚭時嚥䞋機胜評䟡加算 2,500点

[算定芁件]

1 胃瘻造蚭術を所定点数により算定できる保険医療機関においお実斜される堎合は、所定点数による算定ずする。それ以倖の保険医療機関に斌いお実斜される堎合は、所定点数の 80/100 に盞圓する点数により算定する。

2 嚥䞋造圱又は内芖鏡䞋嚥䞋機胜評䟡怜査を実斜し、その結果に基づき、胃瘻造蚭の必芁性、今埌の摂食機胜療法の必芁性や方法、胃瘻抜去又は閉鎖の可胜性等に぀いお患者又は患者家族に十分に説明・盞談を行った䞊で胃瘻造蚭を実斜した堎合に算定する。ただし、内芖鏡䞋嚥䞋機胜評䟡怜査による堎合は、実斜者は関連孊䌚等が実斜する所定の研修を終了しおいるものずする。

3 嚥䞋造圱、内芖鏡䞋嚥䞋機胜評䟡怜査は別に算定できる。

4 嚥䞋造圱、内芖鏡䞋嚥䞋機胜評䟡怜査を他の保険医療機関に委蚗した堎合も算定可胜ずする。その堎合、患者ぞの説明等の責任の所圚を摘芁欄に蚘茉するこずずし、受蚗偎の医療機関は、斜蚭基準(関連孊䌚の講習の修了者の届出等)を満たすこず。



摂食機胜療法

 高い割合で経口摂取可胜な状態に回埩させおいる堎合の摂食機胜療法の評䟡の芋盎しを行なう。

摂食機胜療法

 新 経口摂取回埩促進加算 185 点

[算定芁件]

1 錻腔栄逊又は胃瘻の状態の患者に察しお、月に1回以䞊嚥䞋造圱たたは内芖鏡䞋嚥䞋機胜評䟡怜査を実斜した結果に基づいお、カンファレンス等を行い、その結果に基づいお摂食機胜療法を実斜した堎合に、摂食機胜療法に加算する。

2 治療開始日から起算しお6月以内に限り加算する。

3 実斜した嚥䞋造圱たたは内芖鏡䞋嚥䞋機胜評䟡怜査の費甚は所定点数に含たれる。

[斜蚭基準]

1 新芏の胃瘻造蚭患者ず他の保険医療機関から受け入れた胃瘻造蚭患者が合わせお幎間2名以䞊いるこず。

2 経口摂取以倖の栄逊方法を䜿甚しおいる患者であっお、以䞋のア又はむに該圓する患者(転院又は退院した患者を含む。)の合蚈数の 35%以䞊に぀いお、1幎以内に経口摂取のみの栄逊方法に回埩させおいるこず。

 ア) 新芏に受け入れた患者で、錻腔栄逊又は胃瘻を䜿甚しおいる者

 む) 圓該保険医療機関で新たに錻腔栄逊又は胃瘻を導入した患者

3 摂食機胜療法に専埓の蚀語聎芚士が1名以䞊配眮されおいるこず。

4 2の基準に぀いお、新芏に届出を行う堎合は、届出前の3月分の実瞟をもっお斜蚭基準の適合性を刀断する。


3胃瘻の抜去に぀いお これたで評䟡が䞍明確だった、胃瘻抜去術の技術料を新蚭する。

 新胃瘻抜去術 2,000 点


4胃ろうチュヌブの亀換に぀いお

  経管栄逊カテヌテル亀換法 200点

経管栄逊カテヌテル亀換法は、胃瘻カテヌテル又は経皮経食道胃管カテヌテルに぀いお、十分に安党管理に留意し、経管栄逊カテヌテル亀換埌の確認を画像蚺断又は内芖鏡等を甚いお行った堎合に限り算定する。なお、その際行われる画像蚺断及び内芖鏡等の費甚は、圓該点数の算定日に限り、回に限り算定する。



 ・・・・・・以䞊、私なりに方向性を芁玄するず、

1病院で胃ろうを造っおも、前より安い点数しかあげたせんよ。どうしおも造るずいう病院では、きちんず嚥䞋造圱怜査など、食べられないこずをきちんず蚺断した䞊でやるこず。それから、䜜った埌もちゃんず食べられるように蚓緎をするこず。そうしないずもっず点数を䞋げたすよ。

2胃ろうを造ったあずでちゃんず蚓緎をしお口からだけで食べられるようになったら、いい点を䞊げたすよ。それで胃ろうを抜くこずができたら、今たでは点をあげなかったけどこれからはあげたすよ。

3胃ろうチュヌブを亀換する時には、きちんず病院で、レントゲンや内芖鏡を䜿っお安党に亀換した時だけ、点数をあげたすよ。


ずいうこずですね。


★ 肯定しおみよう

 今回の蚺療報酬改蚂を、肯定的な目で眺めおみるず、実は、前項で私自身曞いたような、「蚺療の正圓なプロセス」に則った方向になっおいる、ず蚀えるでしょうか。芁は、これたでやっおいなかったかもしれないけど、胃ろうを造るには、ちゃんず嚥䞋造圱などしお、「食べられない」蚺断をしないずだめだよ、しかも、䜜った埌でも蚓緎で食べられるようになる人もいるので、ちゃんず蚓緎をしよう、ず。

 衚面的にみれば、もっずもな方向、ず蚀えるかもしれたせん。


★ 批刀しおみよう

 衚面的、ではなく、裏偎から芋おみるず、次のようなこずが蚀えたす。

 たず、「嚥䞋障害」に長く取り組んできた立堎からすれば、「嚥䞋造圱」や「嚥䞋内芖鏡」は、「食べられない」方の、必須、の怜査、ずいうわけではありたせん。

 むしろ、我々が胃ろう造蚭に関しお深く悩むケヌスは、䞊述したように、少量は食べるけど、ほずんど口をあけおくれない認知症の患者、であったり、倏や冬になるず食事量ががたんず萜ちる、ずいった超高霢者であったり、なのです。こうした方々に぀いおは、嚥䞋造圱が必芁ずされるような、狭い意味での「嚥䞋障害」よりも、食事量䞍足、が問題であり、それは嚥䞋造圱などの怜査よりも、食事珟堎に関わったり、看護垫や職員に食事介助指導を行ったり、ずいったこずのほうが重芁だったりしたす。ですから、今回の改蚂によっお、「点数がもらえるなら、必芁ないけど、嚥䞋造圱を行う」ずいう患者が増えないずいいなあ、ず思いたす。認知症で、理解が埗られにくい方に嚥䞋造圱怜査をするのも苊痛なので。

 次に、嚥䞋造圱や蚓緎を行える、リハビリの充実した斜蚭においおは、短期間に集䞭しお蚓緎を行っお、胃ろうにたで至らずに経口摂食が達成できる患者も倚くおり、そうした患者には、そもそも胃ろうの必芁は乏しいでしょう。実際、私は脳梗塞急性期を長く蚺療しおきたしたが、通垞経口摂食が可胜ずなる方は、発症圓初から関われば、1週間長くおも2週間でほが解決したす。よほど重床の方で、早期に意識障害が続いたりする方だったり、球麻痺など特殊なケヌスでは長くなるこずももちろんありたすが。

 ただ、リハビリテヌション優䜍寄りの報告などでは、「できるだけ早期に胃ろうを造っお、経錻経管のない苊痛のない状態で蚓緎を行っお、食べられるようになったらさっさず胃ろうを抜く」ずいうこずを掚奚しおいる人々がいるこずも事実で、そうした蚀い分には䞀定の正圓性はあるでしょう。ただ、そんなこずができる病院、芁は、救急から胃ろう造蚭、リハビリテヌションたで党お充実しお兌ね備えた先端的倧病院はごく僅かで、倚くの堎合には、胃ろう造蚭の前にしっかり蚓緎をしお短期に食べられるようになる、こずを目指しおいるのが䞀般的でしょう。今回の改蚂は、そうした倧病院掟の意芋が通った、ずいうこずでしょうか。

 いかにも手厚いですよね。早く胃ろうを造っお、しっかり蚓緎をしお、1ヶ月くらいで胃ろうを抜く。そうするず、いっぱい点数になりたす。抜いたり造ったり、を繰り返せば、よりたくさん点数がもらえるわけですね。

 もう䞀぀。蚓緎をしお、口から食べられるようになった方、に察しおのご耒矎の条件が、「胃ろうや経錻経管を入れた患者合蚈数の 35%以䞊に぀いお、1幎以内に経口摂取のみの栄逊方法に回埩させおいるこず」ずいうのも、これたた、かなりハヌドな条件です。私、かなりたじめにこの問題には取り組んできた぀もりですが、䞊に述べたずおり、蚓緎に早期からたじめに取り組めば、管や胃ろうを入れる前に口から食べられるでしょうし、胃ろうの結論になっおしたった方に蚓緎をしお35、ずいうのは、䜕だかよっぜど特殊な病院でも念頭に眮いおいるのではないか、あんたり地方の「普通の」病院のこずは考えおないのではないか、ずいう感じがしたす。これもやっぱり、「点数のために、ずりあえず23日だけでも経錻経管を入れずいお、明日から口から食べようか」なんおこずにならないずいいなあ、ず思いたす。

 批刀的に、っおなるず、䜕だかいくらでも出るなあ。・・・ずりあえず、もう䞀぀だけ。最埌にしずきたすが、私は、長らく圚宅蚪問蚺療に携わっおいたすが、圚宅でほが寝たきりで、通院が困難だから蚪問蚺療をしおいる、で、胃ろうが入っおいる、ずいう方はたくさんいるわけです。そうした方の倚くは、くどいですが、通院困難なわけですが、「胃ろう亀換の時だけは、䜕ずかしお病院に来なさい」おなこずを蚀われ続けおきたわけです。

 䜕でか圚宅で胃ろう亀換しおも、䜕にも点数もらえないから、医者はやりたくないんです。

・・・で、栌奜぀けるわけじゃないけど、私は自宅で胃ろう亀換したす。ほめられるもんでもないのかもしれないけど、本来通院困難で蚪問蚺療しおいるわけですから、自宅でできるこずはしおあげたい。でも、「圚宅蚪問蚺療ぞシフト」ず蚀いながら、これたでずヌっず、圚宅での胃ろう亀換には点数が぀いたこずがありたせん。その䞊、今回、「病院でレントゲンや内芖鏡を䜿っお亀換したら点数䞊げたすよ」ず蚀われるず、䜕だかずっおも悔しい気はしたす。結局愚痎ですけどね。



 ・・・・・・ずいうわけで、結局党䜓ずしお、批刀ばかり倚くなっおしたったようですが、なんでかな・・・・・・。

 正盎に曞いた぀もり、なんですが、総論で蚀うず、胃ろう党䜓に関しおは、机䞊のお話ずしおは真っ圓な面もあるものの、珟堎の立堎では、ある特定の、しっかりした病院でなければ点数もらえないみたい。たしおや、圚宅の胃ろうに぀いおは別に考えられおないようです。

で、よく蚀われおいるように、①で議論したような「超高霢者や、認知症」ずいった、狭い意味での改善する可胜性のある嚥䞋障害、ではないような方に察しおの胃ろう造蚭は、しない方向に誘導されおいる、ずいう、たあ、欧米型、ず蚀いたしょうか、そういった改蚂であるようです。



③ 胃ろうに぀いおの思い

 以䞊、非垞に雑駁ですが、「ここ数幎本幎の蚺療報酬改蚂」の胃ろうに関する話題に぀いお぀ら぀ら綎っおみたした。

 最埌に、非垞に私的な思い、を蚘しお、本皿を終えたす。

 繰返しにしかなりたせんが、私は、胃ろう造蚭、が、医者の行う医療、医療技術ずしお、特殊なものだず考えおいるわけではありたせん。癌の手術、であったり、颚邪薬の凊方、であったり、ず同様、必芁な蚺断・怜査を行っお、治療スケゞュヌルを考えお、それでも必芁ず刀断されれば、きちんず説明をしお同意を埗お、胃ろうを造る、ずいう治療を行えばよい、ず思いたす。ですから、「認知症だから胃ろうはだめ」ずか、「100歳だから胃ろうはだめ」ずか、ず、短絡的にいうこずは本来できないず思いたすし、個々の患者さんに぀いおきちんずステップを螏んで、ご本人・ご家族ず盞談をしお、造る方は造る、造らない方は造らない、ずいうこずでよい、ず思いたす。仮にたったく同じ幎霢、臚床的に同じ状態の方が二人いたずしおも、本人の垌望であったり、家族の状況、取り巻く環境等々によっお、䞀方は胃ろうを造り、䞀方は造らない、ずいうこずも、それはありうるこずだず思いたす。

 ただ、自分は胃ろうが奜きか嫌いか、ずいうレベルで蚀うなら、奜きではない、です。もっずも、奜き、ずいう方も少なかろうずは思いたすが。

 たたたた私は、高霢者医療ずか総合蚺療、圚宅医療、ずいった分野で倚く仕事をしおきお、摂食嚥䞋障害・胃ろう、ずいった問題に、専門、ずいっおいいほど銖を突っ蟌んでしたったわけですが、私が䞻にみおきた患者さんは、圚宅で、あるいは斜蚭で、寝たきり、あるいはほが寝たきりで、日がな倩井を向いたたた胃ろうから栄逊が流し蟌たれる、ずいう状況の方が倚かった。

 もちろん、そうした患者さんたちでも、個々に芋れば、「幞せ」「䞍幞せ」、様々な思いがあろうずは思いたすが、自分がそうした状況を迎えるこずになるず仮定した堎合、胃ろうを造りたくはないな、ず、そうは思っおいたす。・・・これは、繰り返したすが、私の、それも、今の時点での、個人的な思い、です。

 そのずき。幎をずっお、食べられなくなったずき、に、私も含めお、それぞれの方は、それぞれに刀断をすればよい、そう思いたす。が、少なくずも、医者ずしおは、「胃ろうを造らなくおもよい」→そのたた亡くなるずいう遞択肢は、医者の偎からもっず提瀺しおよい、ずは考えたす。

 これたでは、ずもすれば、医者の方も、「食べられないなら胃ろうを造る」ず、遞択肢抜きで考えおいたかもしれたせん。しかし、あくたで、蚺療報酬改蚂の誘導、などはさお眮いお、それぞれの患者さんの遞択ずしお、食べられなくなったずきに、「胃ろうを造らない遞択」が、非難の察象にならないように、ず願いたす。

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