top of page

「巡回診療」を始めます

  • 皆川夏樹
  • 1 日前
  • 読了時間: 5分

2026年5月7日 更新

 今月、2026年5月のゴールデンウィーク明けから、「巡回診療」ということを始めることにしました。




(『広報のぼりべつ』に広告を掲載しています)

 「地域医療」ということを考える上では、巡回診療は当たり前のテーマではあります。

 私は、医者としては、学生時代からこの、地域医療、ということに興味を感じ、自分の立ち位置をそれに合わせて考えてきた者です。

 地域医療とは何か、ということから語り始めるとまたいくらでも紙幅を費やすことになりますがこちらはひとまず措き、簡単に、

「医療の乏しい場所において、どのように医療を提供していくか」

という問題に集約しておきます。

 日本では、戦後の焼け跡からこの問題に取り組まざるを得なかったわけです。当初は日本全国にまだ、「病院」というのがほとんどなかった。細々と始まった小さな個人開業医たちは、夜でも患者が訪ねてくれば診療をし、寝たきりの患者のところには往診をして回った。

 そして、山間部など、そもそも医者がいないところには、巡回診療、として、週に1回や月に1回、など、定期的に医者や看護師が出向いて、臨時の診療所を開設した。・・・私が研修医として学んだ、信州佐久平の佐久総合病院では、こうした地域医療の方法論を積極的に追求していました。


 そして、この問題は、例えば、海外の紛争地であったり、途上国であったり、などでは今でも同様に解決が必要として残っています。「国境なき医師団」のような組織は、こうした取り組みの延長線上にあると言ってもいいでしょうし、JICAなど多くの国際的な組織は、医療資源の乏しい地域への応援を模索し続けています。


 とすると、現代日本では、こうした問題はもう「済んだこと」なのかもしれません。病院はたくさんあって、赤字でつぶれるところすらある。むしろ人口は減りつつあって、患者さんを病院が奪い合うようでもある。救急車はたくさんあって、誰でも気軽に利用できる(皮肉を込めた言い回しですが)。今の日本では、「医療の乏しいところ」という前提はなくなったかのようです。


 ことに、室蘭・登別、西胆振地域は、かねてから言われているように、日本全国の中でも突出して、「医療の豊富」な地域です。病床数(入院できるベッド数)は実に、偏差値で言えば80越え。その中でも特に、療養病床や精神病床の数はさらに多い。一般病床すら人口に比してあまりに多く、とうとう市立室蘭総合病院の統合・整理、ということにまでいきついてしまいました。

 正直言って、こうした状況、こうした土地で、「地域医療」という概念はもう不要なのではないか、とも考えました。しかも自分ももう還暦を過ぎて、むしろこれからは自分も医療を受ける側の人間、古い世代の医者はひっそりと消え去るのみ、と思い始めてもいました。


 ・・・


 中途は割愛しますが、まあこの1-2年色々と悩みまして、もう少し、自分にできることを、地に足をつけてしっかりやってみよう、と思い直した、というのが今の心境です。それで、「巡回診療」というわけです。


 「地域医療」―――「医療の乏しい場所において、どのように医療を提供していくか」。

 昨今の事情は上記のとおり、医療施設そのものはもしかすると多過ぎるくらいある。しかし、いつでも医療は「足りない」かのように喧伝されているように思います。

 なぜか。


 ひとつは、医療を受ける方側の問題。

 人口が減り、高齢化が進み、免許を返納して自動車運転もできなくなり、電車路線はなくなりバスは通らなくなり、ドライバーも不足でタクシーもなくなり・・・、ご本人も少し認知機能も衰えてきて・・・、医療施設は市内にあっても、とても通うことはできない。という状況が増えてきています。


 ふたつめは、医療者側の問題。

今の医療は細分化されていて、専門外の診療はなかなか行わない医者も増えています。目薬は出せないから眼科に行って下さい、とか、傷の手当は外科に行って下さい、とか、睡眠薬は精神科に行って下さい、とか、・・・。だから、4か所も5か所も違う病院に通ったりしないといけなくなる。もっとも、これも、医療者側の問題、というよりは、より「専門」の科を望む患者さんの側の問題、とも言えるかもしれません。


というわけで、古くて新しい、巡回診療、という方法を、登別市で引っ張り出してみることにしました。

 ひとつ目の問題。・・・患者さんのお住いの町内会館まで出向きます。何なら、ご自宅まで往診します。

 ふたつ目の問題。・・・私たちは今は、「プライマリケア医」、とか、「総合診療医」、とか、という立場です。内科、小児科を中心に整形外科、 皮膚科、緩和ケアまで幅広い医療教育を受け、地域の健康問題に総合的に対応しています。処方できるお薬は目薬でも睡眠薬でも下剤でも、なんでも処方します。でも、大きな病院でするような、レントゲンやCT、MRI、その他大掛かりな検査はできません。往診カバン一つでできることまでしかできません。その点はご了承ください。(ちなみに、採血検査までは行います。)



 今年に入ってから、あちこちの町内会と連絡をとって相談をして、すぐ近くに病院がない、病院に通うのが大変な方が増えてきた、という地域で、まずは3つの町内会館に伺うことになりました。


2026年5月13日(水)13:00~16:00 幌別東集会所

   以降、(少なくとも2026年度は)第2水曜日


2026年5月20日(水)13:00~16:00 すずらんの家

   以降、(少なくとも2026年度は)第3水曜日


2026年6月3日(水)13:00~16:00 新生虹の家

   以降、(少なくとも2026年度は)第1水曜日


 今のところ、第4水曜日はまだ決まっていません。うちにも来てほしい、という地域がありましたら、町内会館の空き具合とご相談の上、ご連絡をお待ちしています。


 おそらくは、受診が必要な方は既にどこかの病院に受診されていることと思いますので、「お邪魔」をするつもりはありません。

 ・病院に行きたい、と思っているけれど、行くのが大変、億劫な方

 ・今のところ病院にかかっていないけれど、この先不安を抱えている方

 ・今、病院に受診しているけれど、行くのが大変になってきた方

・・・・・・などなど、まずは「受診」でなくても、ご相談だけでも結構です。


あなたの町の町内会館に、ひとまず気楽にお訪ねください。

 特に、「町内会の主催」というわけではありませんので、近隣の別の町内会の方が来られても構いません。

 

 では、来週からいよいよ開始します。

 また、経過をご報告したいと思います。

コメント


bottom of page